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『共喰い』

 ニュースで話題になったこの人↓の芥川賞受賞作です。

YOU TUBE http://www.youtube.com/watch?v=E6cSNDAqJvA

 本書は第146回芥川賞受賞作「共喰い」、第144回芥川賞候補作「第三紀層の魚」の2作品所収。

 作家の人物像から、中上健次”風”の作品を書く人だろうと予想していたのですが、「共喰い」に関してはビンゴでした。私はこの作品を、主人公の強烈な幼児性が主題だと読みました。主人公は17歳だと書いてあるにも関わらず、小学生?と思うような無邪気な行動、まだ世界がすばらしい物であるとしか知らないような、好奇心に満ちた視点。それが悪いと言っている訳ではないんです。私が今まで読んできた純文学の、思春期の主人公達は、無理矢理にでも背伸びをして、大人である事を見せつけるようなタイプが多かった。そういった内容よりは自分に正直で、無邪気に欠点をさらけ出すような姿勢に好感が持てました。高校生はもう少し突っ張っていたりとか、背伸びしたりとか、他人に対して見栄を張りたい時期だと思うのですが、この主人公は”いい子”になって”女性”に守られることに喜びを感じる気味の悪さがある。その一方で、父親譲りのDVという狂気のはざまを行き来します。もう少し書き込んで欲しいと思いましたが、危うい主題を割とさっくりバランスよくまとめて破綻させない所は、力量がある作家なのだと思いました。でも評価は★。

 私は圧倒的に「第三紀層の魚」の方が好きです。誰もが体験する親族の死という記憶を揺さぶります。主人公は小学四年生という、古く遠い記憶を彷徨います。全体をどうまとめるのかが気になりましたが、両手でゆっくりと魚を川に放流するように、昔の記憶がすっと、記憶の底に戻っていったのを感じました。先の動画↑とは違った繊細さや優しさを感じて、「共喰い」とは全く違うこんな世界観を描けるのはほんとにすごいと思った。他の作品も読んでみようかなぁ。

たけわか読み応え評価 ★~★★★

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